中3のクラスに、私に教師には厳禁のため口で話した子がいた。初回だし、自分の力を周りに見せたかったのだろう。それもまた、結構ショックで1週間いろんな人に相談して、悩んでいた。
思春期だし、いろいろ反抗した方がいいだろうと思う。でも、私が中3の態度で気に入らなかったのは、むしろ周りの誰もが彼を止めなかったことだった。 折しも、12月にフランスの中3は職業観察というインターンシップを経験する。将来つきたい仕事の場を実際に経験して、仕事の長所、短所を観察したり、今後必要なディプロムなどを調べるというもの。 そのレポートを私も何人か分採点することになったのだが、その中にため口の子もいた。彼のレポートは、彼が本当にそのインターンで学んだんだな、とわかるような内容だった。 それで、中3クラス全員に匿名で、 実はこういう子がいたの、ため口で逆らうなんてことは中3なら、驚かない、彼は勇気や力の見せ方を間違った方向に使っただけだ。だから、彼は自分の能力を活かす方法を学ぶ必要がある。私が一番ショックだったのは、周りの誰一人も止めなかったこと。それは、果たしてよい友情なのだろうか。 と聞いてみた。フランス人は本当に個人主義で、自分が良ければ人はどうでも、という節がある。それは返せば自分を大切にする能力で、日本人とは違う価値観というだけなのかもしれない。けれども、一度でも社会に出れば自分の失敗を誰も注意してくれない、人と協力することを知らない、人をリスペクトする術を知らない、のでは悩むことがどんどん増えると思う。 彼のレポートの一文にとても感動したので、皆にそれを説明した。個人情報もあるのであまり書けないけれど、修復の仕事。たった1つだけ、「とても重いはしごを運ぶ」仕事をして、あとは働いている人たちがやった。結果は「マジック」のよう、とても綺麗に修復された。という件。 でも、彼がはしごを運ばなかったら、そのマジックは起きなかった。どんな仕事でもそう。一人一人が自分のタスクをきちんとこなさないと、結果はついてこない。そういう地道な努力があった上で、結果を見た人には魔法のように見えるだけなのよ。 音楽なんて興味がない人もいると思う。音楽なんて関係ない、じゃない。確かに音楽では、歴史とかリズムとか、人生に関係ないことを学ぶけれど、一番大切なのは、音楽は共同作業ということ。社会に出たときにキチンと仕事をこなすための訓練をこの場で音楽を通してすると思ってください。 誰か一人が完璧に出来るだけでは足りないし、誰か一人ができないだけで全体の努力がだめになるんです。 拙いフランス語で必死に語りかけたのが運をそうしたのか、授業後、彼にすれ違ったら、「こんにちは、マダム」と挨拶してくれた。 まあ、そう毎回毎回上手くはいかず、人とあった分だけ悩みも増えるのだろうが、それでも此の事を今後の心の支えにしようと思いました。
by gaiakiko
| 2014-01-15 04:46
| 授業
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